Related Artist Stevie Nicks * 麗しの妖精、そしてTPの親友



Stevie Nicksは1974年に、当時のパートナーであったLindsey Buckinghamと共にFleetwood Macに加入します。元々イギリスのブルース・バンドであったFleetwood Macですが、彼女たちの加入をきっかけに、アメリカで一気に大成功を収めます。

参加第1作目の『Fleetwood Mac』(1975年)のヒットに続いて、77年の『Rumours(噂)』は全世界で1600万枚を売り上げ、Billboardのアルバム・チャートでは31週No.1を記録するという大ベスト・セラー・アルバムとなります。ファンタスティックという言葉がぴったりくるようなサウンドで、独自の世界を創り上げ、一躍全米を代表するスーパー・グループとなります。

その中でも、Stevieは「麗しの妖精」などと形容され、そのルックスと独特のムード、そして彼女の創り出す音楽で多くの人々を魅了してきました。そんな彼女が、1981年に初めてソロ・アルバムを発表します。

その作品『Bella Donna(麗しのベラ・ドンナ)』のプロデューサーが、Jimmy Iovine。ご存知のように、『Damn The Torpedoes』のプロデューサーでもあります。IovineはStevieにTPの作品を歌わせようと考え、丁度、『Hard Promises』のセッションで放棄された曲 "Stop Draggin' My Heart Around"を取り上げることになったのです(形としてはTP&HBのバージョンに、StevieとTPのボーカルをのせたようです)。

この"Stop Draggin' My Heart Around (嘆きの天使)"は、Stevie Nicks with Tom Petty and the Heartbreakersのクレジットで発売され、Billboardのチャートで2位を記録する大ヒットとなります(TP&HBにとっても今のところ最大のヒット・シングル)。TPとStevieの相性はピッタリで、ミステリアスで魅力的なナンバーとなったのでした。

これをきっかけに、Stevie NicksとTP&HBは、非常に近しい関係になっていきました。今ではバンド外での活動は当り前のTP&HBですが、Stevieとの共演はその初期のもので、彼らにとっても印象深いものだったに違いありません。この共演は大いに話題となったばかりでなく、TPとStevieはプライベートな面で噂になったりもしました。真相のほどはわかりませんが、TPもStevieもお互いを親友として認めています。
その後も両者の共演は、『Hard Promises』へのStevieの参加("Insider" "You Can Still Change Your Mind")、StevieのアルバムへのHB達の参加と続きます。Stevieのアルバムには必ずといって良いほど、Mike CampbellとBenmont Tenchの名前があり、特にMikeは曲作りやプロデュースなどで大活躍しています。詳しくは 「Session コーナー」 「Songs コーナー」 をご覧下さい。

これ以外にも、ライヴ等での共演が多々あります。81年の『Hard Promises』ツアーのいくつかの公演では、StevieがゲストとしてTPとデュエット、L.A.のForumでの共演の模様は『Pack Up The Plantation-Live!』にも収録されています。86年のBob Dylanとの「True Confessions」ツアーのオーストラリア公演のステージにも Stevieは登場しています。

また、『Playback』(box set)に収録された"Apartment Song"(Demo Version)は、84年にStevieがTPの家に遊びに行った際に、ホームスタジオで録音されたもの。それほど日常的にも近しい存在といえるのかもしれません。

2001年に発表された7年ぶりとなるStevie Nicksの新譜『Trouble In Shangri-La』(Reprise)のライナーには次のように書かれています。

1995年4月24日、PhoenixのRitz Carltonでのディナーの際に、奮い立たせるようなレクチャーをしてくれたTom Pettyに特別な感謝を。家に帰って私はこれらの曲を書き始めました。

TPはこの時、曲作りを手伝って欲しいというStevieに対して、次のように言ったのだそうです。「確かに君にはつらい時期もあったけど… 新しい君を作り出せるのは君だけなんだよ。君は僕が知ってる中でも最高のソングライターの一人だ。手伝いなんか必要ないよ。」 そして、Stevieは新しいアルバムの制作を決意します。アルバムには参加していませんが、きっかけを与えたのはTPでした。いろいろ噂にもなったけど、それ以上にアーティストとして尊敬しあう間柄なのでしょう、素敵な関係だと思いませんか?

2006年のTP&HBの30周年記念ツアーでは、スペシャルゲストとして約20公演で共演を果たしています。"Stop Draggin' My Heart Around"や"Insider"でのTPとのデュエットはライヴの大きな見所となりました。