SWINGIN' Live Report update: 2001. 6. 24


2001年 6月 1&2日 The Joint - Las Vegas
Honky-Tonk Friday and Saturday Nights: Welcome to The Joint … Mayu
* 1st Day (Jun-1)

6/1午後発 Los Angeles乗り継ぎのUA便。日常の流れから暫し脱してのライヴ旅行、どちらかというと淡々とした雰囲気でLas Vegasに向いました。L.A.からLas Vegasへのシャトル便が遅れたため、LV到着は15:00過ぎ。違う便を利用したaraさんとはホテルで無事合流。待望のTP&HBのライヴまであと少しです。

ただ、疲れていたこともあり、部屋で少し休養し、身支度を整えていると、予想以上に時間が経ってしまい、もう18:00近い。会場を偵察に行ったaraさんからの「既に100人くらい並んでいる」という情報に、「しまった…」と思いながら、それでもなぜか隣接しているHard Rock Cafeで軽い食事など取ってしまい、The Jointに行った時には既に開場後、フロアの半分くらいまで人で埋まっていました。

「ガーーン」、何ともマヌケな話です。残念ながら、この日は良いポジションを取ることはできませんでした。ほとんど壁と化した周囲の人々を見るにつけ、血の気が引く思い(大袈裟)は強まります。一段高くなっている後方に下がって観るという手もあったのですが、性格の問題か(?)どうも下がることはできなくて… (少しでも前で観たい、それだけなのです)。まあ、行動が遅かったのだから仕方ないのです。少しは気楽に観てみよう、自分に言い聞かせるしかありません。

会場のThe JointはHard Rock Hotelの1Fに入っています。まわりは勿論、カジノです。まだ新しいこともあり、非常にきれいでした。想像通り広くはなく、ステージが近く感じられます。おまけに、ステージ両側に大きなスクリーンまで付いているのです。何とも至れり尽くせりです(前方を塞ぐ壁さえなければ)。

人々は立ったまま、ビールなど飲みながら始まりを待っていました。かなり寛いだ雰囲気でした。これはライヴ中も続き、なぜか途中で抜け出してビールを買いに行く人、洗面所に行く人、思いっきり話しをする人もいて、ライヴ中は嫌でもこちらの集中力を遮られました。とはいえ、そんな彼らも心からライヴを楽しんでいるのです。それが彼らのスタイルなのでしょう。

そして、20:00過ぎ、ほぼ定刻通りにOpening ActのSteve Earle and the Dukesが登場しました。Steve Earleたちの演奏は2日間とも良かったと思うのですが、本命に気持ちが行っているせいか気合は入りません(興味を惹かない決定的な理由は彼らに「華」がないことです…ゴメンナサイ)。やはり「早くTP&HBが観たい」、ソワソワと落ち着かない気分でステージを眺めていました。

* Honky-Tonk Friday Night

Steve Earleの演奏も終り、あとはTom Petty and The Heartbreakersの登場を待つばかり。狭い会場を埋め尽くした人々の期待は徐々に高まっていき、やがて歓声が上がります。どうやらTom Petty and The Heartbreakersが姿を現わしたようなのですが、やはりステージはよく見えません。飛びはね、背伸びをし、横にずれて、何とか彼らの姿を確認、そこには久々に見るTomがいました。<TP&HBのImpression等はこちらで>

オープニングはいきなり "Runnin' Down A Dream"。元々、ライヴ本編の最後のナンバーだったのが、最近は初めの方で(惜しげもなく)演奏されるようになって、今回のツアーではオープニング・ナンバーとなっています。この曲からスタートするというのは、アーチスト側も観客側もかなりのハイテンションを要求されるようなものですが、考える間もなくジェットコースターは走り出し、Mikeのギター・ソロが響き渡る頃には、もの凄い熱気で溢れかえっていました。

続く "I Won't Back Down" "Breakdown"では勿論、会場中が大合唱です。狭い会場でのライヴはとにかく音にどっぷり浸かっているようなものなので、容赦なく繰り出される演奏をしっかりと受け止めなければなりません。かなりの気力・体力が要る訳ですが、その分、充足感は大きいようです。

Las Vegasでは完全にSet Listが変わった訳ではありませんが、珍しい曲、嬉しい曲が数曲登場しました。カヴァー曲の"Heart Of Stone"、メロディアスなRock'n'RollというのはTP&HBにピッタリで、今もって私の頭の中にこのナンバーが流れるほどです。"Here Comes My Girl" "Even The Losers"はこのツアーで久々に取り上げられていますが、どちらも原曲に近い感じで、改めて素敵な曲だと実感しました。

私の大好きな"Mary Jane's Last Dance"や"It's Good To Be King"はツアー毎、ライヴ毎に緊迫感を増して、彼らは圧倒的な演奏を披露してくれます。特に後者は期待以上の出来でした。スッカリお馴染みとなった"Green Onions"、この曲に限らずインスト曲はTPが歌わないにも関わらず、彼らの持ち味が十分に発揮されて個人的には大好きなのです。

John Lee Hooker / The Animalsのカヴァーになる"Boom Boom"を彼らが取り上げたのは多分、初めてではないかと思います。重低音が響き渡るような演奏に、TPの迫力あるボーカルが重なって、新たなレパートリーが完成した瞬間を感じました。嬉しいことに翌日もこのナンバーは演奏されました。とにかくカッコ良かったのです。

そしてこの日、私がもっとも感激したのはアコースティックの"Time To Move On"に続いて演奏された"The Waiting"。それは不意にさりげなく始まり、静かに演奏されました。"The Waiting is the hardest part..."まるで心に染み込むようでした。演奏シーンは何度もビデオで見ているのですが、実際にナマで聴いたのは初めてなのです。

初めてと言えば、ナマの"Refugee"を聴くのも初めてでした。これもとにかく感激としか言いようがありません。かつてのライヴ・レパートリーも最近では毎回は演奏されず、残念ながら一度も体験したことがなかった曲です。力強くシャウトするTP、80年代の彼らのことを少し思い浮かべてしまいました。また、このツアーでは"Too Much Ain't Enough"が取り上げられています。多分、セカンド・アルバム発表当時以来、演奏されてないのではないかと思われますが、そんなことは感じさせないあまりにもパワフルなナンバーになっていました。TPがやんちゃな子供のように飛び回ってギターを弾いていたのが印象的です。

観客の熱気に影響されたのか、あと2日でブレークになるからか、それとも他の理由からか、とにかくTP&HBはノッていました。特にTomが。そのルックス的変化(?)も気にならないくらい、若々しくチャーミングなTPがそこにはいます。アンコールに3曲演奏して、通常ならここで引き上げるところ、TPはとにかく帰りたくない様子でギターを構えたまま、他のメンバーにアピール。ちょっとバタバタしてたのはご愛敬、"Alright For Now"をおまけに歌ってくれました。

ライヴ後はいつもながら、圧倒的な音楽的充足感に暫し放心状態に陥り、やがてHappyな気持ちに満たされていきます。確かにステージは見づらかったけど、TP&HBの素晴らしい演奏に包まれた2時間余り、素晴らしい金曜の夜でした。土曜日はもっと弾けてしまうに違いありません。
* 2nd Day (Jun-2)

「私は何のために、わざわざ日本からお金と時間を使ってやってきたのか…」、1日目に高い壁に囲まれて近くにいるはずのTP&HBがよく見えなかったことで、半ば(自分自身に対する)怒りにも似た感情が沸き起こっていました。やはり、もっと近くで彼らを感じたいのです。他にすることがある訳ではないのだから、何時間か並んで待てば良いだけなのです。そこで、2日目は午後から並ぶ覚悟を固めました。他の同行者も同じ考えのようです。(araさんだけは他のライヴの予定があってそちらを観に行かれました。)

翌日、少しだけ街中に出た後、Hard Rock Hotelの展示物を眺めつつ、The Jointの状況をチェック。まだ、入口には列は有りませんが、外に並ばされるという話を聞いていたので念のため覗いてみると、やはりいました。14:00の時点で10人前後。まだ列に加わる準備はしていなかったので、一度ホテルに戻って一息入れてから、再びThe Jointへ向います。時間は16:00くらいでした。先程から人数はあまり増えてはおらず、我々で15、6番目でしょうか。これならまずまずのポジションに行けそうですし、見たところ極端に大きい人もいないようで一安心です。開場が19:00、開演(Opening Act)が20:00、あと4時間です。

以前、Fillmoreでも同じように並んだことがあるのですが、3月のSan Francisicoは非常に寒く辛かった。一方、Las Vegasは真夏の気候とはいえ、空気が乾燥しているので蒸し暑くはなく、まずまずの条件でした。同行者と雑談などしていると時間もそれ程長くは感じられませんでした。

18:00頃、The Jointの入口(HRHの建物内)の方に誘導され、さらにそちらで待ちます。開場まであと1時間。別のライヴを観に行っていたaraさんがやってきて、「見たところ300人も並んでいる」と言います(araさんは並ばずに後ろで観ると言ってホテルに戻りました)。そして、開場の時間に。今回入口での手荷物チェックなどは一切なくて、チケットを切ってもらうとすぐに中に入れました。

目指すはやはりセンターやや左寄り(私がBestと信じる黄金のポジション:TPとMikeの中間点)。同行者が足早に前へと進んで場所を確保してくれました。First Lowは逃したものの、その後ろ(2列目)、ふうう〜安堵の溜息がでました。前方のポジションは人がギッシリと詰まっていてほとんど身動きが取れませんでした。昨日の寛いだ雰囲気とは違って、緊張感が漂います。やはり何時間も並んで待つのだから、熱心なファンばかりなのでしょう。目の前のステージを見ながら、さらに耐えて待ちました。

* Honky-Tonk Saturday Night

この日は前日よりも少し遅れて登場したTP&HB、いきなり"Around and Around"でスタート。 このツアーでは演奏していない曲がオープニングに登場し、今日はいつもと全く違う内容になるのか… そんな期待感で早くも興奮状態に。後からTPが言いました「今日はChuck Berryの誕生日」、なるほど!

5/24のSanta Barbaraでは、Bob Dylanの60回目のBirthdayを祝って"Knockin' On Heaven's Door"も演奏されていました。彼ららしい祝福の仕方です。(奇しくも、この日のアンコールでも"Knockin' On Heaven's Door"が演奏され、まさに天にも昇るような気分で「Knock Knock Knockin' On Heaven's Door」を歌いました。)

その後は"Runnin' Down A Dream"が続き、この日も昨日と同じような流れでライヴは進みました。意外にも『Echo』から演奏されたのは、"Billy The Kid"のみ(Las Vegasということもあり"Swingin'"を期待したのですが)。乾いたハードな雰囲気は、TPの言う「Wild Western Song」にピッタリです。

"Little Red Rooster"は気だるいムードのブルース・ナンバー。Stonesのカヴァーでも知られていますが、TPは最後に「I Just Want To Make Love To You」というフレーズを付けて歌っていました(どちらもWillie Dixsonのナンバー、TPお気に入りのようです)。Bo Diddleyの"Mona"はビデオ「High Grass Dogs」にも収録されていることもあってか、結構反応も良かったようです。TPお得意の「Elvis is King, but Diddley is daddy」にファンも大喜びでした。続く"Lucille"もお馴染みですが、何ともセクシーな雰囲気の漂う曲になっていました。

この日はステージがよく見えたこともあり、ひたすらTPに集中してしまいました。前から感じていたことですが、TPはファンのことを良く見ています。歌いながら、ギターを弾きながら、一人一人を見回すように。そういうのってファンとしては堪らないものです。一瞬でもTPが自分のことを見てくれたと感じられる、本当に嬉しい限り、まさに至福の瞬間です。

さらに、TPとMikeが近づいて目と目で合図をしながら演奏を進めていく様子は、緊迫感があって実にカッコ良いし、ツーショットで嬉しそうにギターをかき鳴らす様子は、見ているだけでこちらまで楽しくなってしまいます。ステージにはそんなムードが充満していて、やはり私はTPに吸い込まれていきました。他のメンバーのことはあまり記憶に残っていません。まともなレポートができないのも無理はありません。

昨日とは違った状況の中で、この日もさらにさらに楽しむことができました。ほとんど周囲のことは気にならず、自分とTP&HBの世界に浸っていたかのようです。それは本当に素晴らしいSaturday Nightでした。
* Live Impression

TP&HBの場合、もう長い間、ライヴの構成は基本的に変わらない気がします。演奏されるのは<1. 彼らの代表曲、2. 最新アルバムからの曲(今回はナシ)、3. カバー曲、4. 彼ら自身の古い曲>で、3、4でどんな曲が演奏されるのかが大きな興味となります。今回のツアーのSet Listを見ると、カバー曲は"Little Red Rooster"と"Guitar Boogie Shuffle"or "Green Onions"の2曲、"Too Much Ain't Enough" "Here Comes My Girl" "Billy The Kid"あたりの珍しいナンバー、あとは適宜彼らの代表曲が演奏されています。

Las Vegasの2日間は、やはり通常よりはヴァラエティに富んだ内容となりました。カバー曲としては、"Heart Of Stone" "Green Onions" "Boom Boom" "Call Me The Breeze" "Little Red Rooster" "Lonely Weekends" "Around & Around" "Guitar Boogie Shuffle" "Mona" "Lucille" "Knockin' On Heaven's Door"が演奏されました。よく演奏される曲や初めて演奏されたと思われる曲もありましたが、どれも既に彼らのオリジナルそのもののTP&HBサウンドになっていました。

珍しい古い曲としては、"Too Much Ain't Enough" "Here Comes My Girl"が演奏されましたが、20年以上の時間が経過したことは感じさせない生き生きとした内容でした。そして、最近はライヴで必ず演奏される訳ではなくなった"The Waiting"と"Refugee"の登場は本当に嬉しい驚きでした。

先に彼らのライヴの構成(演奏曲)は基本的に変わらないと書きましたが、一方でそのアレンジはかなり変わっていることを今回再認識しました。彼ら自身が演奏を続けていく中で、常に新鮮な気持ちでプレイしようとしているのがよくわかります。これによって、ファンの側も飽きることなく、彼らのライヴを見続けることができるのかもしれません。

"I Won't Back Down"はここ数年、アコースティックで演奏されていました。少し低めのトーンで静かに歌われ、何とも厳かな雰囲気を醸し出していたものですが、今回はオリジナル(レコーディング・ヴァージョン)に忠実なアレンジで演奏されていて、Mikeのスライド・ギターも聞かれます。また、"Here Comes My Girl" "Even The Losers"もしばらくアコースティックで演奏されていたものが、今回は原曲通りのキラキラしたエレクトリック・サウンドが復活しています。

一方、"You Don't Know How It Feels"は前半アコースティックで、途中からエレクトリックの演奏が加わるスタイル。"Time To Move On"や"Learning To Fly"は完全にアコースティックでした。こういった変化は概ね楽しいし、変わり続けることにはポジティブな期待感が持てます。

私は97年以来、数回彼らのライヴを見ているため、ライヴの流れや演奏スタイルにある意味では慣れてしまったのかもしれません。イントロに入る前の雰囲気でだいたい演奏される曲はわかりますし、ライヴ自体も既に経験したことのある心地良い流れの中で、その素晴らしさを再確認しているかのような状況です(済みません、贅沢な話です)。

とはいえ、彼らのライヴは常にマイナー・チェンジを繰り返して続けられており、新しい何かがそこにはあります。だからこそ、まだまだ彼らの演奏を見続けたいし、新たな驚きを体験したいと、心から思っています。多分、これが悪いビョーキの根本的な原因なのでしょう。
* Extra Special Twinkle

他の会場の様子がどうだったのかはわからないのですが、Las VegasではとにかくTPがノッていました。The Jointくらいの広さだとファンの熱気は直接アーティストに伝わるはずで、それが功を奏したのだと思っています。ほとんどの曲で会場中が大合唱。一曲毎に上がる歓声にTPも圧倒されていました。(ただ、後からその理由が、TP自身のプライヴェートな部分にも関係あると知って、ちょっとガッカリしたものです。いえいえ、素直に「Congratulations!」です。)

そして、今回、TPはファンへの感謝の言葉を数多く口にしていました。デビュー25周年ということもあってでしょう。

2日目の最後の曲の前にTPは言いました。「ファンのみんなに感謝する。特に遠くからやって来てくれた人達に!」この一言を聞いて、私たちもここに含まれているのに違いないと思って素直にうれしく思いました。Tomが私たちが日本から来たことを理解している訳ではないのはわかっています… そこにはアメリカ中からやって来た人たちが集まっていたのですから。それでも、遠くからやって来たファンの一人としては、特別な言葉に感じました。
* そして幸運は舞い降りた

そんな言葉に気を良くしていたら、最後に幸運は舞い降りました。全ての演奏が終って引き上げて行く時、TPはいつものようにピックをファンに向けて投げました。それは丁度私たちのいるサイド、目の前を3-4枚のピックが固まって降って来ました。私の左前にいた女性が1枚拾いましたが、後はどこに行ったのかわからず、暫しみんなでピックのゆくえを探しました。残念ながら、私のところには降って来なかった… よね。

でも、次の瞬間、私の右足が何かを踏んでいるような感触に気付きました。まさか… もしや… ドキドキしてすぐには見ることができません。私は恐る恐る、後ろに立っているTOSHIさんに足元を見てくれるように頼みました。果たして、足元にはTPのピックがありました(私のサンダルに踏まれて)。ああ、やはり… 良かった。素晴らしいライヴ、そして最後に降ってきた素敵な贈り物、またもや出来過ぎのライヴ体験をさせて頂きました。

ピックは今回念願を果たし、16年ぶりにTP&HBを見ることができたTOSHIさんの手に渡りました。この素晴らしいライヴの想い出として、いつまでも大切にしてね。
* Thanks!

レポートを楽しみにしていると言って下さったみなさんに。そして、レポートを読んで下さったみなさんに。制約少ない身ゆえ、いつも気ままに出掛けてばかりで済みません。少しでもレポートで還元できれば良いのですが、今回もライヴの部分をきちんと押さえることができませんでした。相変わらず思うようには書けません。

最後に、同行者のTOSHIさん、ジローさん、Sammy(with クロコ)、araさん、いろいろとありがとう。ご一緒できてヒジョーに楽しかったです。
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