Live Report update: 1999. 11. 12


1999年 10月 15、16日 MGM Grand Garden Arena, Las Vegas & Hollywood Bowl, Hollywood
Report2: Live Report風エッセイ Mayu-A.
「Live Report」のつもりだったのに、結局、演奏シーンは出てきません。TP&HBのplay、演奏の流れ、ギター… そんなことにもほとんど触れてません。悲しいかな、正統派レポートは書けませんでした。そう、これは「Live Report」風なのです。Liveをテーマに、思うままに綴ってみました。
〜 Friday, 10/15/1999 Las Vegas:   MGM Grand Garden Arena 〜
* いきなりの歓迎!!

いかにもLas Vegasという感じの、派手めのホテルが建ち並ぶ中にあるMGM Grand Hotel。巨大なホテルの施設の中に、ライブ会場となる"MGM Grand Garden Arena"があります。私たちは少し離れたmotelから、その一角に歩いて向かいました。殺伐とした何もない場所から、だんだんと別世界に近づいて行くような気分で。それにしても、こんなケバケバしたところでTP&HBのライブがあるというのも、ちょっと不思議な感じです。

MGM Grand Hotelの入口にそびえ立つ電光掲示板。絶え間なく、煌びやかに、Las Vegasでのイベントの宣伝が流され続けています。近づくとそのスクリーンには何と、TP&HBの今日のライブの告知VTRが… 「わぁーTomさんだー」歓声を上げるとともに、本当にここでライブがあるのだという実感が。緊張していた4人に笑顔が出ました。
MGM Grand Hotelの入口に立つ巨大な広告塔、その一方の電光掲示板にTP&HBが。
今回、カメラマン役もこなす、しげやんが、変化していく映像を上手く収めてくれました。


* ゴージャス

巨大なカジノの迷路を縫うようにして、ようやくArenaに辿り着いたのは、開場の少し前。ホテル内でもあるArenaの周辺は、やはりゴージャスなムードが漂っています。カジノはすごい広さで、見渡す限りどこまでも続いていました。きっとここでは昼も夜もないのでしょう。

まあ、そんなことは私たちには一切関係なしです。Will Call (チケット引き換え窓口)でチケットを受取り、早速、会場内へと急ぎます。

ホテルの中に飲み込まれたようなGrand Garden Arena。正確なキャパはわからないけど、1万数千人は入るのではないかと思われます。どことなく落ち着いた雰囲気で、そのせいか独特のムードを醸し出しています。
会場のMGM Grand Garden Arena入口
* Stage Design

今回のステージも、長年のスタッフであるJim Lenahanによるものでした。彼は一時、Mudcrutchのメンバーだったことがあり、その後、ステージ担当としてスタッフに加わります。80年代の前半には彼らのプロモーション・ビデオも手がけたりしています。今回のツアー・パンフに1ページ、Lenahan自身によるステージ・デザインの説明があり、それがどれだけ重要視されているかを伺わせます。

Las Vegasの会場で席に着くと、写真等で見ていたステージ・セットが、目の前に広がっていました。天井から吊り下げられたいくつかの壷(7つ?)と帆船の帆のような布(ステンド・グラスを思わせるデザイン)、そして所定の場所には例の宝の箱。ここ数年の彼らのステージで必ず見かける、アンティークな絨毯・オブジェと蝋燭の数々。

ドラム・セットが置かれているあたりには、沢山のクッションが並んでいます。ということは、これはリビング・ルームを意識しているのかも。確かにどことなく、古くて大きな屋敷の中にいるような雰囲気です。そんな中で、ドラムスに書かれたハートのロゴが、ポップな色合いを振りまいていました。

ステージが始まると、そのセットの本領が発揮されます。そう、TP&HBの登場と共に、吊るされた布に色とりどりの照明があたり、色の変化とともに様々な表情を見せていきます。以前、誰かが「万華鏡のよう」と表現していましたが、まさにその通りだと思いました。それはもう美しくて、心を奪われるようです。

布はやはり船の帆のようにローブで上げたり下げたり、優雅に風を切るように動かされていました。ダイナミックで繊細、という相反する表現がしっくりくるような感じです。
* Live at Las Vegas

オープニング・アクトの演奏が終って、ステージのセッティングが進んで行きます。スタッフが器材をセットし、マイクや楽器のテスト。Alan"Bugs" WeidelがTPの、Steve WinstedがMikeのギターを準備しています。そんな中に混じって、噂の西村さんもキビキビと仕事をこなしていました。

ステージ上の蝋燭には2種類の太さがあって、太いものは楽器のセットが終ったあたりで予め火をつけておき、細いものは始まる直前に点火されていきます。なるほど。そんな様子をぼんやりと眺めていると、聞き覚えのある曲が。ある方から頂いたライブMDで、TPとバンドが登場する直前にかかっていた曲です。「ああ、いよいよなのだ…」言いようのない緊張感が走ります。

Tom Petty and the Heartbreakersは、9:30pm過ぎに登場。アンコールが終了したのが11:40pm頃でしたから、約2時間10分のステージでした。曲数は本編:16+アンコール:3で計19曲。内容的にはいつも通り、ほぼ固定された曲目を、確実にでも圧倒的な実力で演奏していきます。ツアー連戦の疲れは見せず、いつもながら楽しそうに演奏しているのが見ていて嬉しいです。

Tomは相変わらず自然体で登場しました。そしてお決まりの一言。これから始まるライブへの期待を胸に、会場中がTomに集中します。健康状態に不安があるのではと思われたHowieは、随分と元気そうに見えました。なぜかHowieのシャツはTomとお揃い(しかもフリル付き)で、兄貴のお下がりでも着せられてるのかと思っちゃいました。MikeとBenは黒をベースにしたシックないでたち。ScottとSteveに関しては覚えていません(スミマセン)。きっと変なカッコではなかったということでしょう。

この日の私たち4人の座席は幸運にも、中央左寄りの前から10数列目という恵まれたポジションでした。Fillmoreの最前列には及びませんが、はっきりとTPやHB達の表情もわかるくらいの近さでした。ステージもそれほど広くはなくて、よく見渡せるようになっています。嬉しいことに今回はBenmontの姿も結構見ることができました。

高まる期待をよそに、Bandは落ち着いて冷静に準備をして、そして、いきなり1曲目の"Runnin' Down Dream"へ。あれ、あれっ…??
* Set List

日本を発つ前に目にしたセットリストの曲目が、極端に少なかったことが気になっていました。ツアー当初は23〜4曲演奏されていたところ、ここに来て20曲弱へと落ち込んでいるのです。ついに"Room At The Top"は消え、ツアー当初演奏され途中で消えていた、いくつかの曲が復活する兆しも見えません。

そして悪い予感は的中し、この日は"Jammin' Me"が飛んで、いきなり"Runnin' Down The Deram"で始まり、少し肩透かしを食ってしまいました。とはいえ、間近に動く彼らを見ているのですから、すぐに調子を取り戻したのは言うまでもありません。

結局、この日は19曲が演奏されました。セットリストに変わり映えはありませんでした。これだけのツアーになると、かなりの消耗なのでしょう。仕方がないことなのかもしれません。でも、ファン心理としては、新しい曲や珍しい曲を期待してしまうのです。残念ながら、ツアー当初に演奏されていた"Rhino Skin" "Refugee"を聴くことは夢と終ってしまいました。
* サイケデリック

"Don't Come Around Here No More"では、ついに例の帽子のアトラアクション(?)を目にしました。会場が湧いたのは勿論です。後半の演奏部分では、丁度、「Take The Highway」のビデオでの演出と同じように、チカチカと照明が点滅してサイケデリック・ムードを高めます。

強烈な照明の中に入り込んだ私たちは、半分正気を失ったように飛び跳ねてヘラヘラと笑っていたのです。何とも楽しかった。TP達は何が観客を惹きつけ楽しませるのか、ちゃんと心得ているのです。
* 頑張れMike!

噂では、Mikeのボーカル曲"I Don't Wanna Fight"はちょっと盛り下がるんだそうな… うーん、確かにそんなムードです。会場は一休み状態に。みんなはMikeが歌うことなんてどうでもいいのかしら。でも、MikeはFillmoreの時よりもずっと上手くなって、安定感を出せるようになってきていました。その進歩に思わず拍手。バンドも何としても盛り立てようと全力でいってる感じです。

彼が必死で歌うのを見て、これが応援してあげられずにいられましょうか。バンドと一緒に「I Don't Wanna Fight〜」と歌って、精一杯、Mikeをサポートしました。「頑張れMike!」(わからないけど、ちょっと母親の心境??)、何だか勝手にバンドと一体感を感じてしまうのでした。
* 今日のBest3?

この日、特に印象に残ったのは、"Swingin'" "I Won't Back Down" "Mary Jane's Last Dance" …でしょうか。

"Swingin'"は今年3月のFillmoreからずっと演奏され続け、まさに彼らの代表曲になった感があります。Scottのハーモニカは本当に切なくて、TPのボーカル&バンドの演奏と同じくらいの印象を残します。ゆったりした演奏に浸かることで、自分の心が解き放たれていくような気持ちの良さです。

"I Won't Back Down"は今回もアコースティックで演奏され、会場中が大合唱になりました。1万数千人の声が巨大な室内に響き渡り、その中にいるというのは圧巻でした。

この曲に関しては、きっといつどこで聴いても、印象に残るのだと思います。「諦めない…」TPその人に言われると、逆に私も「諦めない、絶対に諦めない、あなたにも思い知らせてやる…」と、過激にも半ば脅迫めいた考えで一杯になりました。多分、その時の私はTPを睨み付け、異常に怖い顔をしていたはずです(これじゃあ、来日は躊躇されるかも)。

"Mary Jane's Last Dance"は決して期待を裏切らない曲だと思いました。私がこれまで彼らを観た中では毎回必ず演奏されていますが、いつも本当に素晴らしいのです。レコーディング・バージョンも良いけど、ライブはそれを上回る力強さ&カッコ良さです。自然と目を閉じて、その演奏の流れに身を任せてしまう自分がいます。
〜 Saturday, 10/16/1999 Hollywood :  Hollywood Bowl 〜
* Hollywood Bowl

Hollywood Bowl … と聞いただけでドキドキするのは、(よくわからないけど)きっと由緒あるコンサート会場だからなのでしょう。多くのアーチストがライブを行っている中、私にとってはやはり、The Doorsの『Live at the Hollywood Bowl』。その場所で、これからTP&HBを観ることができるというのは感慨もひとしおです。

丘(山かな?)の中腹にある会場へは、宿泊先から車で10分くらい。長い坂道を歩いて登って行く人も結構います。会場の入口からもさらに坂道で、それはもう大変な人込みです。その熱気が「これから凄いイベントがあるんだ」そんな気にさせてくれます。

旅行ガイドによると、キャパは1万7千人。実際に座席に座ると、それはやはり巨大な会場でした。これは凄いライブになる、そんな予感を抱かせてくれます。
会場外の看板。「SOLD OUT」の文字も。



* SEAT

私たちの席は丁度、真ん中くらいのはずなのですが、普通の感覚でいうとかなり後ろの方で、ステージは遥かかなたです。前日あんなに近くにいた彼らも、今は遠くスクリーンでその表情を捉えることができるだけ。ちょっと寂しい。でも、かなり角度がついているし、座席もずらしてあるのでしょう、立てばステージはちゃんと見えるようになっていました。それで一安心。

屋外の会場はとても解放感があります。思わずあたりを見回してしまいました。見上げると、空には星も見え始めています。そして、かなり高いところなので肌寒いのを通り越して寒く、席に着いた頃から冷え込みが厳しくなってきました。周囲には毛布を準備している人もちらほら。「さむーい、早く出て来ーい」単純にもそれだけを考えてしまいました。


刻々と変化する照明が美しい
* 宝石箱

Hollywood Bowlでは設備の関係からか、ツアーを通して使用されてきたセットが、使えなかったようです。この日はずっとステージを彩っていた、上方から垂れ下がる布はありませんでした。昨夜見た幻想的なステージ・セットが気に入った私は、少しガッカリしました。

とはいえ、かなたから見下ろす先にある、真っ白で小さな半円のドーム型のステージは、それはそれで絵になる美しさでした。

そして、いざステージが始まると、ドームの白い壁に色とりどりのライトがあたって、それは何とも言えない美しさに。まるで宝石箱のようで、心を奪われる眺めです。(左のステージ写真から、移り変わる照明の色の美しさを少しは楽しんで頂けるでしょうか。)

途中からは、ステージ後方から強烈なサーチ・ライト(10本くらいかな?)が空に向かって照らされ、それは彼らの曲とあいまって正に幻想的な景色になりました。空には星と前方を飛ぶ飛行機のライトも。息を呑むような美しさです。

* スクリーン

客席中央の左右に2つのスクリーンがあります。ここには普通、TP&HBの様子が映し出されているのですが、時々、会場の観客やそれ以外のシーンも捉えていました。ステージが遠いので、どうしてもスクリーンには目がいってしまうのですが、そんな中で印象的だったシーンが2つ。

1つはせつこさんも書いている"Penetration"でのビキニのお姉さん。私たちがMikeのギターで気持ち良く踊っていると、いきなりスクリーンに現われたのです。思わず、隣のしげやんを突っついて、指差して教えてあげました。しげやんは「おーーっ」と喜んでいました。

もう1つはラスト・ナンバーとなった"American Girl"の直前。ドームのさらに左右後方に2本のポールが立っていて、その一方のポールにはためくアメリカ国旗が一瞬映し出されました。そこにかぶるように、Tomの姿がオーバーラップします。そして、あのイントロが流れて来たのです。胸がジーンとしました。
* Live at the Hollywood Bowl

この日は元々、開始時間がLas Vegasより30分早くなっており、前夜より早目のスタートでした。TP&HBが姿を現わしたのが9:00pmの少し前、アンコール終了が11:15pm頃、だったと思います。曲数は本編:17+アンコール:3で20曲。

最初のうちTPは、心なしか声がかすれ気味だったような気がします。単に私の気のせいかもしれませんが。長期間のツアーをこなして(途中、喉を痛めたりもして)きたのですから無理もありません。とはいえ、気になったのは本当の最初だけで、あとはいつも通りでした。

昨日の至近距離から一気にはるか後方の席に。この落差でライブを楽しむことができるのかと、あらぬ不安がよぎりましたが、それは杞憂と言うものでした。二つの会場は全く違う状態で、私たちを楽しませてくれました。会場によっても随分と印象は変わるのですね。

この日のTP&HBはとても出来が良かったように感じます。きっと、これが最後だという気持ちから、彼らものっていたのでしょう。前日より熱の入った演奏で、最終日を飾ってくれました。そして、それが観客を触発してさらなる盛り上がりを創り出したのです。
* 今日のBest3??

最終日は特に3曲選ぶのが難しいです(無理に選ぶ必要もないのですが)。それでも選ぶとすると、"Free Fallin'" "Gloria" "American Girl"でしょうか。偶然にも全てアンコールで演奏された曲です。

"Free Fallin'"ではまさに会場が一体となりました。そこにいた誰もが共有できる瞬間。Hollywood Bowlの大観衆が空に向かってコーラスを展開します。多くのファンに愛され、L.A.で演奏されるのが最もマッチする、この曲ならではでしょう。今や"anthem"というに相応しい風格すら感じます。その時、心の中にあったものが全て解きほぐされたように感じました。この2日間での私の中でのBEST SONGです。

"Gloria"は狂乱のPARTY(?)でした。これまで何度も聞いて、いつもそれなりに楽しんできたけど、この日の演奏は特に今まで以上に楽しめたのです。相変わらず冴え渡るTPのアドリブStoryは、とにかく聞いてるだけで楽しくなってしまうし、いつもよりいろいろな表情を感じさせる演奏はゴキゲンだし、そして「G-L-O-R-I-A」の大合唱も圧巻なのです。この会場の雰囲気に、私自身が紛れもなくPARTYの出席者になっていました。

"American Girl"は、Fillmoreではアコースティックで演奏されていました。それがツアーに入って、オリジナル通りのエレクトリック・バージョンでの演奏になりました(厳密には、その前のドイツでも既にオリジナルverです)。このスタイルで聴くのは、前夜に続いて2度目でした。

常に同じテンションで1つの曲を演奏し続けるのは、難しいことだと思われます。だから、TP達も飽きれば演奏曲から外し、アレンジを変えるのでしょう。そんな中で、巡り巡って再生したこの曲に、TP&HBの今を感じます。まあ、そんな理屈は抜きにして、本当に楽しく素晴らしいナンバーだったのです。
* The End

泣いても笑ってもツアー最終日。何か特別なことがあるに違いない、出発前に周囲から言われていたし、正直私自身も期待していました。他のアーティストとの共演はないにしても、きっと演奏曲はいつもより多くて、アンコールの連続かも… なーんて。

でも結果は、残念なことに何も変わったことは起らなかったのです。1度目のアンコール後、観客は拍手と歓声でさらにアンコールを求めますが、彼らはあっさりとステージを去ってしまいました。Howieに至っては、嬉しそうにスキップするように引き上げて行きました。そして残念ながら2度目はなかったのです。

まだ出て来てくれるかも、はかない期待もRock調(?)の"Greensleeves"で吹っ飛んでしまいました。哀愁漂うメロディのこの曲が掛かったら、もうライブはお終いのサインなのです。

ああ、終ってしまった。信じられない。終ってしまった。ただただ、呆然としていました。素晴らしかった思い出は全て過去へと流れていくのです。信じたくない…。
* Thank you sooooo much!!!

どうやら彼らは、初めから特別なことは考えていなかったようです。ツアーのおおとり、ファイナルだというのに。そういうものなのかなあ… でも、それもまたTP&HBらしいか。

残念といえば残念だけど、でも、そのことで彼らのコンサートの価値が下がる訳ではあません。そこを誤解しないようにしなくては。そう、ライブは素晴らしかったのです。たっぷりと笑い、飛びはね、踊り、祈り、涙も流して、感動したのです。この時の充実した気持ちは紛れもなく、彼らの音楽によって与えられたものでした。

素晴らしいLiveを観せてくれたTom PettyとHeartbreakersに拍手を!Tom、Mike、Benmont、Howie、Steve、Scott … ありがとう。長いツアーを終えて、今はまだホッとしているところなのかもしれないけど、近いうちにまた動き出してくれることを祈っています。それが日本でなら言うことはないですね。楽しみに待っています。
Part1: 星に祈りを…  | Las Vegas & Hollywood