Live Report: Residency Live(6/8/2013)

The Best of Everything(HBとの遭遇 )

reported by Mayu-A 

  • date / place 2013. 6. 8 Fonda Theatre (Los Angeles, CA)
  • post date 2013. 6. 29

2013年はツアーに加えて Beacon / Fonda でのレジデンシー・ライヴ(同一会場での連続公演)が行われました。私も 6月8、9日と2日間のライヴを観に L.A.の Fonda Theartre に行ってきました。が、6月8日のライヴが消防署からの指導により途中終了というアクシデント。何とも残念な経験をしました。もちろん翌日は無事にライヴは行われたので、評判となった小さなホールでのレジデンシー・ライヴを楽しむことはできました。

とはいえ、帰国後バタバタしているうちにライヴ・レポートを書きそびれてしまいました。その代わりにブログの方に投稿していた原稿を利用して、番外編として一日目(6月8日)のライヴ後の話をお届けします。


ライヴが突然終了したことは少なからずショックで何とも言えない気分でした。諦めきれない気持ちで最後までフロアに残っていましたが、ほどなくセキュリティから退出を促されて会場外に出ました。周囲にはまだ観客がざわめきつつ点在していましたが、それほど大きな混乱状態ではありませんでした。

私たちの宿泊したホテルは実は Fonda Theatre から徒歩5分弱、1ブロック分の広い駐車場を隔てて会場の隣に位置していました。ホテルに向かって歩き出すと、通りから会場側をちらっと見たTSさんが「まだ居るみたいだね」と言いました。

ライヴ終了とともに彼らが速攻で会場を出るものと考えていた私は「え、そうなの?」と訝しく思いましたが、「予定より30分以上早く終了しているから車の準備も出来ていなかったはずだ」とTSさん。「なるほど」(超納得) … 「どうする、行ってみる?」と言われるまでもなく、当然のごとく会場の裏手に向かいました。

↑ 中央(下側)にある緑色のフェンスが出入口 

Fonda のあるブロックを左に曲がって少し行くと会場の裏口がありました。そこは、宿泊するホテルの窓からも見渡せる見慣れた景色の場所でした。辺りには10人くらいのファンがたむろしているのみ。思いのほか静かでそっけない雰囲気に、先ほどの騒乱はウソのようで、かつ「本当にここに彼らが居るのかしら?」と思ったほどです。当初はセキュリティの他に警官も配備されていたのですが、全く混乱は起こらなかったのですぐに引き上げていました。

裏口は可動式の簡易的なフェンスで目隠しされていて、多くのファンは向こう側にバラバラと立っていました。交わるのも嫌なので我々は離れてこちら側で待つことにしました。(これ、結果的に功を奏します。)

もう帰ってしまったかな??でも、人がいるということは帰ってないのかな??? 待ちぼうけの可能性もありますが、ライヴ終了が早かったので時間に余裕はありましたし、何よりも行き場のない気持ちを残したまま帰りたくなかったというのが本音かもしれません。

↑ かすかに写っている人影が Ron です

普段とは違う状況に緊張しながらも TSさんと雑談しつつ待ち続け、10分くらい経ったでしょうか、フェンスの中側が少しザワザワして車が1台出てきました。

目の前にきた車の後部座席を見ると … 「Ron だ~!!」そう Ron Blair が乗っていました。わ~っと思ったのも束の間、車は右折して表通り(Hollywood Blvd.)の方へ走り去ってしまいましたが、「やはり、まだ居たんだ … 他のメンバーも居るに違いない」と考えると嬉しくもありました。

少し後にまた車が1台。とはいえ、ウィンドウが黒いフィルムに覆われていて中の様子は全く分かりません。車はそのまま走り去り、少し肩透かし感を味わいました。ガックリ。

その次に出てきたのも黒塗り。出口から進み出た車は通りに出るための右折待ちで一時停止。うーん、何も見えないっ。と思ったそのとき、右側後部座席の窓がスルスルっと開き … そこから顔を出したのは … 「きゃーー Mike だぁーー」出口付近に人がいたからでしょう、外の様子をうかがいつつ顔を出してくれたようです。嬉しくて「ネコ満足」とニヤケつつ車を見送っていると、(たぶん信号待ちでしょう)通りに出てすぐに車が完全に止まりました。一瞬 1mmくらいの躊躇はあったのですが、次の瞬間には止まっている車に向けて走り出していました。幸運なことに我々が立っていたのは Mike の座っている右サイド、しかも一番至近距離なのでした。

おもむろに Mike の横に立つと、「こんにちは、Mayu と言います。日本から来ました。」と、なんか小学生のような文章をしゃべってました。Mike は笑顔で「ハーイ」と応えてくれ、たぶん、ここで握手してくれたのだと思いますが、舞い上がっていたので記憶が定かではありません。Mike は「M・a・y・u、M・a・y・u」と私の名前をつぶやくように2回繰り返して発音してました。2012年に会ったこと は覚えてなかったような感じでした。

Mike の隣には奥様の Marcie が座っていたので思わず、「ハーイ、Marcie!前にお会いしていますが、覚えてますか?」と尋ねると、彼女は笑顔で「Yes」と応えてくれ、「あなたたち明日のライヴは観られるの?」-「ハイ」-「良かった。今日のライヴは残念だったけど、でも Fire Marshal の命令で仕方が無かったのよ。」と申し訳なさそうに教えてくれました。

私はさらに小学生化が進み「明日は大丈夫ですか?」などと尋ねており、二人は笑顔で微笑んでいました。この間に他 2~3人のファンもやってきて、Mike は彼らに「どこから来たの?」と聞いていました。ほどなく信号が変わり、Mike 夫妻も付近のファンを含めた我々も「See you Tomorrow!」という言葉を交わしつつ、車は走って行きました。時間にしてほんの3分くらいのことでしょう。

うぎゃーーー(悶絶中)、Mike だったよーーー(感激中)☆ この感動を胸に「さて帰ろうか」的な流れもありましたが、やはり「まだでしょ」ということで引き続き出待ちは続きました。

それからまたしばらくして裏口内がザワザワしてきて、「Benmont」という単語が聞こえてきました。これ、意味としては「Benmontさん、次出まーす」という感じです。で、緊張しつつ出口を注視していると車が1台出てきました。「きゃあーーー、Benmont!!」 確かに Benmont です。浮かれる私に対して、TSさんは後部座席に目をやったものの Benmont の姿を確認することができなかったそうです。そりゃそうです。Benmont、後ろには乗っておらず、自分で運転してましたから。TSさんによると、ドイツ車Bだったようです。

*済みません、実は TSさんも「Benmontが運転しているところは見た」ということでした。お詫びして訂正いたします。

Benmont はステージで着ていた衣装(?)のまま、白いハットもかぶっていました。この日以来、Benmont のイメージは白です。颯爽と格好良く、Benmont は帰って行きました。当然、会話などできませんが、レアな姿を眺めることができてちょっとウットリ気味でした。

次に出てきたのはやはり黒塗り車。何も見えないまま走り去りました。ここまで我々が見た限りでは 5台の車が出てきました。肝心のTPは一体???さっさと帰ってしまったのだろうか???それにしてはまだセキュリティは居るし、数は減ったとはいえファンも残っています。様子を観察したTSさんによると、建物の塀の上から駐車スペース内をウォッチしているファンがいるとのこと。そんな特等席があったとは。

やがてまた動きがあって、車が1台出てきました。いわゆる RV車系ですが、やはり中の様子はうかがえないようになっていました。と同時に、壁に上っていたと思われるファンが慌しくダッシュしてきて、どうやらその車に TP が乗っていたのでしょうね。他の5台は右折だったのが、その車だけ左折して Sunset Blvd.方向に走り去りました。あっけない最後でした。ほどなく、マネージャーのRさんが出てきて徒歩で帰っていきましたので、これで TP&HB は全員帰路についたということなのでしょう。

「遭遇」に期待させてしまった みなさま、あっさりした内容&結末で済みません。HBには遭遇しましたが、TPの姿は見ることもなく … 私はいまだに一度もTPには遭遇したことがありません(まあ、そういう運命なのでしょう)。時間にして1時間くらいだったのでしょうか。この夜の体験は少し現実離れしていて、冷静な感覚が麻痺してしまったようで、記憶しているのはごく限定的な部分のみです。おまけに写真は全く撮れず、映像も部分的にスイッチ入れていたのですが、写っているのは暗闇と地面ばかりでした。レポーター失格ですね(反省)。

とはいえ、ライヴ終了時の「行き場のない気持ち」は、HBとの遭遇によって解消されていきました。かなり単純なのですが、それまでの失望と不安がすーっと消えて、彼らのことがより一層好きになり、「明日のライヴを楽しもう」という気持ちの切替えにもなりました。特に、わざわざ窓を開けてファンの様子を見て交流してくれた Mike の優しさには本当に感謝*感激 。彼と接していると、大きく暖かなものに包まれているという感覚になります。
(一方で、TP がそうしないことは、ファンとしては承知済みです。フロントマンとしての責任を一身に引き受けている TP。そして、その繊細さを思うと、やはり静かにストレスなく帰してあげるのが正解だと思います。)