1-1. The Fillmore Party Report

レポートは長編ですので全4ページに分けました。途中、(J)はジローさん、(S)はせつこさんのコメントです。

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TPの新譜発売という嬉しいニュースに沸いている2月の初め頃、「TP&HB が Fillmore に再登場 … 」という情報が流れて来ました。「Fillmore」 … この言葉に反応せずにいられるでしょうか。彼らが最初に Fillmore で20回コンサートを行った時、まだ実物の TP&HB を見たことがなかった私は、「どうしても観たい、観たい、観たいのよー」と思いは募り、ほとんど勢いで観に行ってしまったのでした。あれから2年、あの時の素晴らしさに取りつかれて今に至る、といっても過言ではないでしょう。TP&HB が再びFillmore で演るという噂は以前からありました。本当に本当なの?待ち続けていたニュースだったはずなのに、その瞬間、嬉しさよりも緊張が走りました。なぜだか、ちょっと怖かったのです。

情報が広まるにつれ、アメリカは勿論、ここ日本のHeartbreaker たちもその話題で持ちきりでした。みんな心は一つ「TP&HB が観たい」のです。ところがところが、一向に正式な発表はありません。一体どうなってるのだろう … 毎日やきもきさせられました。はっきりした予定も立たぬまま、みんなどうしたものかと悩んでいたに違いありません。結局、2/21にチケットが発売されるというニュースがでたのは、2/18になってからでした。あまりにも急なことで、最終的に Fillmore 行きを決意したのは、私とせつこさんの二人でした。

2/21(日)のAM10:00 (日本時間にすると翌22日(月)の朝3:00)からのチケット売り出し。BASSという代理店が店頭、電話、ウェブを通じて発売をします。頼もしいことに、せつこさんの従姉妹と友人がサンフランシスコ近郊に3人もいらっしゃって、チケット・ゲットに協力して下さるとのこと。取りあえずは運命を天に任せて、ひたすらPCと電話の前で祈りました。3時をまわると、TP&HB のメーリングリスト(ML)を通じて情報が流れはじめました。そのほとんどが「チケットはすでに Sold Out。チケット・ゲットに失敗した」という悲痛なものばかり。やはり大変なことになっているのだと実感しました。そして3:30頃、せつこさんからの電話。その声はいつも通りの彼女ではありましたが、どこかガッカリしていました。そう、チケットは取れなかったのです。

とにかく今回のチケット・ゲットの過熱ぶりはすさまじかったようです。ウェブを通じての申し込みは10分と経たぬうちに Sold Out。電話は30分、1時間とかけ続けても結局つながらなかった人が多かったようです。今回、チケットの3分の2が BASS で取扱われ、3分の1は直接 Fillmore で発売されました。そして地元の多くのファンは、直接 BASS または Fillmore の窓口に足を運んだとのこと。Fillmore では、発売の10:00には数百人が列を作っていたといいます。せつこさんの従姉妹の潤子さんも、発売開始から何と3時間並んでくださったのですが、結局チケットは買えなかったそうです。しばらくの間、ウェブの世界にはチケットが手に入らなかった人が溢れ、どことなく不穏なムードが漂っていました。アメリカのファンですらそんな状況なのですから、日本にいる私たちがチケットを手にすることができないのも仕方なかったのかもしれません。

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大切なものが遠のいてしまったことは良くわかっていました。私は疲れと落ち込みから、諦めモードに入りつつありました。でもその夜、せつこさんから「どうしても諦めきれない。チケットなしでも行きたい」という電話を頂き、気を取り直しました。きっと、2年前の私もそうだったように、どうしても観たいという熱意が伝わってきました。それで二人で覚悟を決めて、GOすることにしたのです。とにかく行くつもりで頑張ってみようということになりました。そこからは驚くべき速さで事態が進んでいきました。

まずは海外ライヴのチケット購入に詳しいしげやんに「HELP!」のメールを送りました。しげやんは何とサーチエンジンで、SF周辺のめぼしいチケット・ブローカーを探し出してくれて、どのように対処したらいいかなどを丁寧にアドバイスしてくれました。「誰かさんの曲に”I Won’t Back Down”ちゅうのがありましたよね … 」という力強いメッセージも一緒でした。

(チケット・ブローカーというのをご存知ない方もいらっしゃるかと思いますが、アメリカでは正規に手に入れたチケットをブローカーを通じて売買することが認められています。ですから、Sold Out になったコンサートでもチケット・ブローカーにあたれば、手に入れることができる可能性もあるのです。勿論、値段はプレミア付きの価格を覚悟しなければなりませんが … )

しげやんは私たちに速攻でメールを返してくれました。それも深夜3:00に。翌朝早く、それを見たせつこさんも速攻でチケット・ブローカーにあたりました。私が目を覚ます時間には、もう全てが決着していたということになります。朝、いきなりせつこさんからの電話があり、驚いたことに「チケットが取れた!」というのです。それにしても何という早業。

その日のお昼にせつこさんと会って、フライトの手配まで済んでしまうと、あまりにあっけなく物事が運んでしまったので、何だか急激に力が抜けていくようでした。正規チケットのゲットに失敗し、ひどくガッカリしたのも一瞬で、翌日には「全てがOK、後は待つだけ」の信じられないような状態になっていました。それにしても、せつこさんの熱意と行動力には敬服してしまいます。

こうして、私とせつこさんがまさに安堵のため息をついた頃、なぜか遅れて登場のジローさん、「僕も Fillmore 行きたい。もうダメかなあ」ですって。おいおい、何でもっと早く言わないの … またブローカーにチケット頼まなきゃならないじゃない。とはいえ、心優しいせつこさんのお陰で、こちらも無事チケットをゲットすることができ、Fillmore Party は3人組になったのです。

幸運である。想えば「ボクが死ぬまでに見たいライヴの一つは Tom Petty & The Heartbreakers です」、初々しくも語った事があった。その方法を知るべくインターネットの世界に迷い込み、MayuさんのHPに出会った。そのHPが無ければ、ボクは知らなかった事に違いない。(J)

さらに幸運は続く。旅の同行者(というより保護者)のお二方は、片や語学堪能、片やフィルモア経験者と、正に全てのお膳立てが揃っているわけである。多少の虐めも何のその、ここで行かなきゃ運命の神さんに悪いと言うモノだ!この日の為に昨年の夏休みをとっておいたのが功を奏した!チケットや航空機&ホテルの手配など(全ての手続きとも言う)はおんぶにだっこで、あわただしくパスポートを申請し、ギリギリで受け取り、新品の歯ブラシの購入する!!(J)

虐め?いつ・どこでー??まあ、この3人の PARTY になったところで、周囲のみんなからは冗談半分、ジローさんの役割がネタになりましたね。コワイお姉さん(?)二人に「使いっぱ」として扱われる、なんてね。でもジローさんがいてくれたことで、私たち女の子2人としては、とても心強かったのです。ライヴを見た後の子供のように幸せそうな顔は忘れられません。

そして、せつこさん。今回のMVPとも言えるのがこの方です。得意の英語力と気さくな性格と TP&HB への熱意で、いろいろなきっかけを作ってくれました。周囲のファンとも積極的に交流を図っていて、すごく楽しそうな様子は見ていて素敵でした。それに私の伝えたいことなどを通訳してくれたり、細やかな気遣いをしてくれたり … 本当にありがとう。自分で言うのも変だけど、なかなか素晴らしい組合せの PARTY になったと思います。